2017年12月14日

ブロードバンドタワーで Scality RING を担当しているポールです。
今回は、Veeam Backup Free Edition という無償バックアップ製品(以降 Free 版)で、vSphere 環境の仮想マシンを Scality RING 上にバックアップするという動作確認のレポートです。

きっかけを説明します。私の前職の同僚が Veeam (ヴィーム) 社の日本法人に転職していまして、池田の記事にもありますScality SDS Day 2017 に登壇されたことをきっかけに、同社の Veeam Backup & Replication という有償バックアップ製品(以降、有償版)の紹介をいただきました。イベントで池田が発表した Veritas NetBackup との性能検証で、Scality RING の S3 コネクタとバックアップ製品との組み合わせに大きな可能性を見出したこともあり、他のバックアップ製品を使っているお客様にも S3 コネクタとの組み合わせをご提案できるのではと考えて Veeam 社製品の話をききました。実は、有償版で S3 接続してバックアップをアーカイブする機能が追加されるのは、次バージョン(v10)からとのことで、S3 接続の評価をするのは v10 を待つ必要があります。とはいえせっかくですので、前段階として Veeam社認定構成である CIFS コネクタとの組み合わせを参考に何かサクッとできることはないか?と考えて、機能制限はあるものの誰でも試せる Free 版を用いて、仮想マシンのバックアップを Scality RING 上に保存することが可能なのかを面白半分で試してみました。

結論からいえば、Free 版でも問題なく CIFS コネクタを用いて Scality RING 上にバックアップを保存することが可能でした。ただし Free 版には相応の機能制限がかかっていますので、あまり複雑なことはできません。Free 版はあくまでも 仮想マシン数の少ない小規模な仮想環境のバックアップ用途として考えてください。Free版と有償版の機能差についてはこちらを参照ください。

Free 版のダウンロードからインストールまで

まず、Veeam 社の Webサイトで Veeam Backup Free Edition のダウンロードリンクをクリックすると、Webサイトへのログインが求められます。初回の場合はアカウントがありませんので、有効なメールアドレスを用いてアカウント作成をしてからログインし、Free 版のインストーラをダウンロードします。私がダウンロードしたのは v9.5 Update2 というバージョンでした。動作環境として Windows 環境が1つ必要になりますので、メモリ4GB の仮想マシンを用意します(詳しい動作要件はこちらを参照ください)。私は個人的な GUI の好み(?)もあり、 Windows Server 2012 無印の評価版をゲストOSに選んで Free 版を構築しました。

ダウンロードした Free 版のインストーラを Windows 上で起動すると、Windows に .Net Framework 4.5.2 の導入が済んでいない場合は導入が求められます。残念ながら Windows Server 2012 無印の初期状態には .Net Framework 4.5.2 が入っていないため、インストーラの指示通りにインストールを行ないました。.Net Framework のインストールが終わると1度 OS再起動が求められます。OS 再起動後に Windows へログインすると Veeam のインストーラが自動で起動し、そのまま作業が進みます。途中で License ファイルを投入するように求められますので、“License ファイルを指定しせずに”先に進めてください。License ファイルを指定せずに先に進めることで、Veeam Backup が Free Edition モードで動作します。

その後、インストーラから次のソフトウェアの確認が求められます。これらはインストーラによって自動でインストールされるわけではないようです。

  • Microsoft System CLR Types for SQL Server 2014
  • Microsoft SQL Server 2014 Management Objects
  • Microsoft PowerShell v2.0

PowerShell 以外は Windows Server 2012 無印には入っていなかったので、Veeam インストーラからそれぞれインストールを行いました。この辺りはさくっとインストールが終わり、OS 再起動なしに先に進みます。

その後、Veeam Backup 内部ではバックアップ情報の管理に SQL Server 2012 Service Pack3 の Express Edition を使用するようで、このインストールが進みます。あとは Windows が動作する環境次第で相応に時間がかかりますが、放置しておけば無事に Free 版のインストールが終わります。今回は Windows から新規インストールを行っていたため、トータルではかなりの時間がかかりましたが、難しい点は特にありませんでした。最終的に Free 版のインストールが完了した時点で、再度 OS 再起動が必要になりますので、再起動を行います。

管理コンソールを起動し、ログインする

OS再起動が終わって Windows にログインしたら、登録されているアイコンを確認してください。複数のアイコンが登録されていますが、今回試したのは Veeam Backup & Replication Consoleというアイコンだけです。これが管理コンソールに相当します。

Veeam Backup & Replication Console
Veeam Backup & Replication Console

ログイン画面が起動したら、Use Windows session authenticationにチェックを入れて Connect を選びます。画面が開いて、画面右下にFREE EDITIONという表記を確認できれば、Free 版として Veeam Backup が動作していることになります。

FREE EDITION
FREE EDITION

管理コンソールに vSphere 環境を登録する

まず最初に、管理コンソールに仮想環境を登録する必要があります。vSphere 環境の場合は vCenter Server を登録します。VMware vSphere を右クリックして、Add Server を選びます。

Add server
Add server

この後でてくる画面で、登録したい vCenter Server の IPアドレスや認証情報を入力します。登録が終了すると、VMware vSphere の下に vCenter Server および紐づく ESXi サーバが表示され、管理コンソール中央にはバックアップ対象となる仮想マシンが表示されます。

RING の CIFS コネクタを利用して Free 版で仮想マシンのバックアップを行う

仮想マシンのバックアップは非常に単純です。管理コンソールに表示された仮想マシンを選択してからVeeamZIP をクリックし、バックアップ書き込み先の Destination を指定するだけです。Free 版を導入した Windows から直接アクセスできる場所であれば、Destination は Cドライブでもネットワークドライブでも、UNCパス指定でも大丈夫です。CIFS コネクタを使用する場合は、CIFSコネクタに組み込まれている SerNet Samba 側のフォルダ共有設定を行ってから、あらかじめマウントしたネットワークドライブもしくは UNC パスでバックアップ保存先のフォルダを指定し、接続に必要な認証情報を設定してください。

VeeamZIP
VeeamZIP

OK をクリックすると、バックアップが進みます。バックアップが終了したら、バックアップファイルをエクスプローラで開いてダブルクリックし、リストア機能を使ってバックアップに仮想マシンが含まれていることを確認してください。

ちょっと裏ワザ? NFS コネクタを利用した仮想マシンのバックアップ

Free 版の場合は、Free 版をインストールした Windows から直接繋がるストレージ領域にしかバックアップを格納できません(バックアップを Veeam 社製品の機能で効率よく別のサーバに転送するには、有償版が必要です)。なので、Free 版では CIFS コネクタを利用するのが極めて自然な流れになります。とはいえ CIFS コネクタを用意していない RING 環境もあるかと思いますので、裏ワザとして NFS コネクタを使用してバックアップする方法を試してみました。

Windows NFS クライアントを使いますので、結論としては、やってやれないことはない、という感じです。RING の場合、SOFSコネクタの種類と数は課金なしに増やせますので、素直に CIFS コネクタを用意いただくのがお勧めではありますが、どうしても NFS コネクタを使う必要があれば、以下の流れを参考にしてください。細かい手順は割愛しますが、キーワードをインターネット検索していただければ個々の情報ソースに辿り着けるものと思います。

  • サーバマネージャからNFS クライアントの役割を追加
  • passwd/group ファイルを用いたユーザマッピングを実施
  • Windows の mount コマンドで NFS マウントを実施
  • 共有フォルダのプロパティで NFS 共有の設定を行い、group, other を書き込み可能にする
  • VeeamZIP 時の認証には Windows ローカルユーザの情報を使用する

CIFS コネクタを準備するのと上記を実施するのと、どちらが楽かは状況次第だと思いますので、参考になれば幸いです。(有償版であれば、Linux サーバを Repository Gateway Server にすることで Veeam 社製品の機能でバックアップを転送することが可能なため、Windows NFS クライアントを使う上記の流れは必要ありません。)

追記1

この記事を読んで、Free 版を vSphere Hypervisor (無償のハイパーバイザ)と組み合わせてみようと思ったかたがいるかもしれませんので、予めお知らせしておきます。Free 版は vSphere Hypervisor を管理コンソールに登録することはできるのですが、vSphere Hypervisor では ESXi の一部機能が無効になってしまうため、次のエラーを出してバックアップ(およびリストア)処理が失敗します。このため Free 版は vSphere Hypervisor とは組み合わせられません。この点はご注意ください。

Error: Current vSphere license or ESXi version prohibits execution of the requested operation.  

誤解がないように補足しますが、Veeam 社製品を利用する際に vSphere 環境では vCenter Server が必須ということではなく、有償ライセンスもしくは評価ライセンスを使用する ESXi サーバであれば問題ありません。ESXi 評価ライセンスの使いどころとしては、リストア用の ESXi を一時的に用意しなければいけない場面になります。

追記2

2つほど、今回試した内容ではないのですが、補足情報としてお知らせします。

  • Hyper-V の場合は、無償のハイパーバイザである Hyper-V Server 上の仮想マシンを Veeam 社製品でバックアップ可能とのことです。なので、無償製品の利用にこだわるならば、Hyper-V Server という選択肢があります。
  • エージェントレスでの仮想環境バックアップで有名な Veeam 社製品ですが、Veeam Agent for Windows/Linux というエージェントをバックアップ対象へインストールすることで、パブリッククラウドを含む様々な仮想環境や物理環境についても Veeam 社製品を用いてバックアップ可能になるとのことです。Veeam Agent にも有償版と無償版があります。それぞれの機能差についてはこちら(Windows/Linux)を参照ください。

いかがでしたでしょうか。今回の記事は以上になります。
今後も引き続き Scality RING に関連した技術情報を記事にしていきますので、ご期待ください。

本ブログの情報につきましては、自社の検証に基づいた結果からの情報提供であり、
品質保証を目的としたものではございません。

投稿者: ポール

ブロードバンドタワーで Scality RING を主に担当。ストレージ業界の知り合いからはポールと呼ばれているが、本人も由来はよくわからない。得意領域はデータベースとストレージ。