データソリューション技術グループの秋元です。主にScality RINGを担当しています。
今回は先日発表されましたScality RING7の機能の一つであるFull Geosynchronization(SOFS)(以下Full Geosync)をご紹介させて頂きます。Full Geosyncは既にリリースされているRING6.4で実装された機能ですが、RING7でも使用が可能です。
Full Geosyncとは
Full GeosyncはSOFSのmetadataとdataを別サイトのRINGに非同期でレプリケーションを行うものです。レプリケーションの手法としてはコネクタがRINGへデータを書き込む際に作成されるjournalを基にmetadata及びdataの転送を行います。
レプリケーションのデータ通信方法としては、journalの転送にはHTTP、metadata及びdataの転送にはCDMIを使用しています。Full Geosync利用時にはCDMIでの通信が必要となる為、RINGへ接続するコネクタはCDMIコネクタを選択する事となります。
ここで “Full GeosyncってCDMIでしか使えないの?” との疑問が出てきますが、Scality RINGのCDMIコネクタはFUSE機能を備えている為、CDMIのAPIを生かしつつRINGをFUSEでマウントすることが出来ます。このFUSE機能によりCIFS(sernet-samba)やNFS(Kernel NFS)を利用することが出来るようになっていますので、CIFSやNFSでのファイル共有が要件となる場合にも、Full GeosyncでのDRを実現することが可能となっています。
Full Geosyncの構成
Full Geosyncを構成するコンポーネントは下記となります。
ソースサイト
- CDMIコネクタ
- Full Geosync Source
ターゲットサイト
- CDMIコネクタ
- Full Geosync Target
各サイトのコンポーネントは通常一つのサーバ上にインストールされるものです。なお、CIFSやNFSが必要な場合は別途設定が必要となります。
Full Geosync SourceとFull Geosync Targetはそれぞれ下記の機能を持っています。
Full Geosync Source
-
- journalの送信
- CDMI通信
Full Geosync Targetからのリクエストを受けてソースサイトのCDMIコネクタとターゲットサイトのCDMIコネクタの間でmetadata及びdataの転送を行います
Full Geosync Target
- journalの受信と最適化
- Full Geosync Sourceにリクエストを送信
Full Geosyncの動作
Full Geosyncは前述のように複数のコンポーネントが連携することでレプリケーションを実現しています。
CIFS利用時の動作概要は下記となりますのでFull Geosyncの動作のイメージを掴んでいただければと思います。
① ソースサイト側:ファイル作成
② ソースサイト側:journal作成
③ ソースサイト側:journalをターゲットに転送
④ ターゲットサイト側:journalを受信および最適化
⑤ ターゲットサイト側:journalからmetadataまたはdataをソースサイトに要求
⑥ ソースサイト側:要求を基にRINGからmetadataまたはdataを取得
⑦ ソースサイト側:取得したmetadataまたはdataをターゲットに送信(ターゲットに同一ファイルがある場合は変更差分のみ転送)
⑧ ターゲットサイト側:metadataまたはdataを受信しRINGへ書き込む
⑨ 同期完了
これで無事レプリケーションが完了しました。少し複雑ですがFull Geosyncの動作は上記ような流れとなっています。
以上、Full Geosyncについてご紹介させて頂きました。
Scality RINGのFull Geosyncでのレプリケーションは一般的なNAS製品のそれとは異なる為、本記事が理解の助けになれば幸いです。弊社ではすでにFull Geosyncの導入実績が御座いますので、ご興味を持たれましたらお問合せ頂ければご説明させて頂きます。
先日発表されましたRING7ではFull Geosync以外にも新機能が追加されていますので、今後も順次新機能についてご紹介させて頂きますのでお楽しみに!
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