2017年1月5日

皆さま、明けましておめでとうございます。

今年も「ブロードバンドタワーの技術ブログ『Tower of Engineers』を、どうぞよろしくお願いいたします。

初めて投稿いたします、佐伯尊子と申します。
簡単ですが、自己紹介致します。主な業務は、データセンター内外の通信配線について、お客様のコンサルティング等を行っております。

さて、最近「100ギガのLANについて、日本語の情報が少ない」旨のお話を伺う機会が増えました。そこで、100ギガのイーサネットの動向ついて、物理層を中心にお話しできればと思い、投稿いたします。今回は第一回目ということで、100GbEを取り巻く現状をおさらいしたいと思います。

(1) 100ギガビットイーサネット(100GbE)

100Gbpsのデータフレームをイーサネットを使って送受する仕組みです。イーサネットと冠が付きますので、IEEE802.3で取り決められています。
具体的には以下の標準があります。
表1 25Gbps以上のイーサネット規格(抜粋)

※制定中の規格は、制定後利用する光ファイバの種類が変わることがあります。

10GbEまでは、規格と伝送速度、伝送媒体(メタル/光ファイバ)は一意的に決まっていたのですが、2010年に制定された40GbE/100GbE以降、一意的に「規格=伝送速度=伝送媒体」を定義することは出来なくなりました。「100GbE」と言っても、幾つもある規格のうちの「この規格(例えばIEEE802.3baの100GBASE-SR10)による100GbE」と言わないと、両端の機器の疎通ができないことを意味します。まずは「どの規格(のどの速度)?」というのを考えなければならない時代になりました。
一つの規格に2つ以上の速度が盛り込まれていること、また同じ速度であっても、規格がいくつも存在すること。これが、(25GbE)40GbE以降のイーサネット規格の大きな特徴です。

(2) 伝送方式の違い

では、これらの規格は何が違うのでしょう?ざっくりいうと、10GbEを1単位とするファーストジェネレーションか、25GbEを1単位とするセカンドジェネレーションになります。
IEE802.3baは、10GbEを1単位としていますが、IEE802.3bm以降は25GbEを1単位としています。それぞれ確認しましょう。

(2)-1 IEEE802.3ba
  • 100GBASE-SR10

10GbE通信のしくみであるMMF2芯を10回線束ねて実現した100GbEです。そのため、送信に10芯/受信に10芯使うことから、”SR10”と表記されています。10GbEを力技(パラレル)で送っている感じがひしひしとしますね。
ケーブルは10GbEと同じOM3/OM4を使うのですが、コネクタ部分は「MPO (Multi-fiber Push On)コネクタ」もしくは「MTPコネクタ」を用います。

100GBASE-SR10

図1 100GBAS-SR10による伝送のしくみ
(出典:Cabling & Maintenance Magazine 2010年11月Webより)
12F/24Fというのは、12ファイバ/24ファイバの意味です。但し利用するファイバは10芯です。
100GBASE-SR10_module
図2 100GBASE-SR10の光モジュール内部例
(出典:Fiber Optic TransceiverモジュールWebより)

これより、光モジュール(CFP)の中に、10芯分の送信用光源と10芯分の受信用PD (Photo Detector) が格納されていることが分かります。そのため、CFPはお弁当箱のように大きなモジュールとなっています。

  • 100GBASE-LR4

10GbE×10回線を25GbE×4波にギアチェンジして伝送します。SMFに送信4波長/芯、受信4波長/芯、合計2芯を使って通信する100GbEです。送受信にそれぞれ4波長使うことから、”LR4”と表記されています。
100gbase-lr4
図3 100GBASE-LR4の光モジュール
(http://www.fiber-optic-transceiver-module.com/category/fiber-optic-transceivers/40-100g-transceivers より)
10Gbpsを25Gbpsにギアチェンジする10:4Gearboxがあることが分かります。

  • 100GBASE-ER4

100GBASE-LR4と同様に10GbEを25GbEにギアチェンジして通信する仕組みです。最大伝送距離が100GBSE-LR4と比べて長くなります。

(2)-2 IEEE802.3bm
  • 100GBASE-SR4

100GBASE-SR10と比べて、利用する光ファイバの物理的な数を減らすことを目的の一つとして規格化されました。この規格では最初から25GbE×4波長で送信/受信する方法です。利用光ファイバはOM3/OM4となります。
100GBASE-SR4
図4 100GBASE-SR4の光モジュール
(http://www.fiber-optic-transceiver-module.com/category/fiber-optic-transceivers/40-100g-transceivers より)

(2)-3 その他MSAによる規格

実はIEEE802.3bmにおいて、SMFを使った短距離のイーサネット規格も制定したかったのですが、いくつか提案された方式のどれもが、一長一短で規格として一本化することが出来ませんでした。そこで、規格では「EEE (Energy Efficient Ethernet)を考慮した方式であること」という枠組みだけが残りました。提案された各方式それぞれが独自のMSA ( Multi-Source Agreement) として、100GbE伝送を可能にしています。しかし、両端の機器は同じMSA規格の光モジュールを使わないと伝送できないという状況です。

  • 100G-LRM4
  • 100G-CWDM4
  • 100G-PSM4

(3) 配線に対する条件

IEEE規格もしくはMSA側から配線に対して条件が出ています。それを確認していきましょう。

表2 規格抜粋(MMF)

表3 規格抜粋(SMF)

次回以降これらについて、詳しく見ていきます。

参考資料

IEEE802.3委員会
IEEE802.3
光モジュール詳細紹介
光モジュールドットコム
100G-CLR4
100G CLR4 alliance
100G-CWDM4
CWDM4 MSA
100G-PSM4
100G-PSM4 MSA

以上

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