2016年3月31日

ブロードバンドタワー國武です。

このブログでは初投稿になるので、簡単に自己紹介を。

今までにネットワーク、ウェブアプリの開発など、色々やって来ましたが、自分では現在のところサーバ屋さんに近いかなと思ってます。Linux IPv6 Users Group JPを経て、Linux の IPv6実装を改善しようと立ち上がった USAGI Projectにコアメンバーとして参加したこともあり、IPv6とは長い付き合いです。未だに JPNIC IPv6教育専門家チームという帽子も持っており、ほそぼそと?IPv6には引き続き取り組んでいます。講師として他所で話したり、勉強会等に参加者として出かけたりすることも多いので、その際にはお気軽にお声がけ頂けると嬉しいです。

さて、本投稿含め、特に分野を決めず思いつくままに書き散らしていこうかと考えていますが、技術関連の話題に触れる際には、IPアドレスやドメイン名を例示することがよくあります。うっかり実在のIPアドレスやドメイン名を使ってしまうと、迷惑をかけてしまうかもしれません。ここでは、ドキュメント用にリザーブされたIPアドレス等、必要になりそうなものをまとめてみました。

目次

  1. IPv4アドレス
  2. IPv6アドレス
  3. ドメイン名
  4. AS番号
  5. MACアドレス
  6. 最後に

IPv4アドレス

[RFC5737] IPv4 Address Blocks Reserved for Documentation

で定義されており、

  • 192.0.2.0/24 (TEST-NET-1)
  • 198.51.100.0/24 (TEST-NET-2)
  • 203.0.113.0/24 (TEST-NET-3)

が文書用のIPv4アドレスとしてリザーブされています。

また、用途が限定されますが

[RFC6034] Unicast-Prefix-Based IPv4 Multicast Addresses

には、 上記文章用のIPv4アドレスを利用した Unicast-Prefix-Based IPv4 Multicast Addresses のサンプルについて触れられているので

  • 234.192.0.2
  • 234.198.51.100
  • 234.203.0.113

についても、挙げておきます。これらは後述する EUI-64 Documentation Values にも関連してきます。

IPv6アドレス

[RFC3849] IPv6 Address Prefix Reserved for Documentation

で定義されており、

  • 2001:db8::/32

が文書用のIPv6アドレスとしてリザーブされています。

ドメイン名

[RFC6761] Special-Use Domain Names

で定義されており、

TLDとしては

  • .test
  • .localhost
  • .invalid
  • .example

セカンドレベルドメインとしては

  • example.com.
  • example.net.
  • example.org.

があります。それぞれの想定されている用途については、RFCを参照してみてください。

さらに、RFCにはなっていませんがJPドメインでは

例示に使用可能なドメイン名はありませんか?

に記載があるように

  • example.jp
  • example.co.jp
  • example.ne.jp

と、それぞれの example の後ろに一桁の数字を付与したドメインもOKです。

例:

  • example1.jp
  • example2.co.jp
  • example3.ne.jp

さらには日本語ドメインにも例示用に、”ドメイン名例.JP” が用意されているとのことです。

  • XN–ECKWD4C7CU47R2WF.JP (「ドメイン名例.JP」のpunycode表記)

ドキュメント用途という意味では少し方向性が変わってしまうかもしれませんが、IANA-managed Reserved Domains によると、テスト用 IDN(Internationalized Domain Name)  TLD として

Domain Domain (A-label) Language
إختبار xn--kgbechtv Arabic
آزمایشی xn--hgbk6aj7f53bba Persian
测试 xn--0zwm56d Chinese
測試 xn--g6w251d Chinese
испытание xn--80akhbyknj4f Russian
परीक्षा xn--11b5bs3a9aj6g Hindi
δοκιμή xn--jxalpdlp Greek, Modern (1453-)
테스트 xn--9t4b11yi5a Korean
טעסט xn--deba0ad Yiddish
テスト xn--zckzah Japanese
பரிட்சை xn--hlcj6aya9esc7a Tamil

が用意されているそうです。

AS番号

[RFC5398] Autonomous System (AS) Number Reservation for Documentation Use

で定義されています。

  • 64496 から 64511
    • 16ビット AS(2バイト AS)
  • 65536 から 65551
    • 32ビットAS(4バイトAS)

一見すると、プライベートASっぽく見えますね。

MACアドレス

MACアドレスそのものは IEEE で定義されていますが、ドキュメント用のアドレスに関しては

[RFC7042] IANA Considerations and IETF Protocol and Documentation Usage for IEEE 802 Parameters

で触れられています。00-00-5E は、IEEEからIANAにアサインされたOUIです。このレンジから、様々な用途でアドレスが割り当てされていますが、ドキュメント用としては下記の通りです。

  • EUI-48 Documentaiton Values
    • Unicast MACアドレス
      • 00-00-5E-00-53-00 から 00-00-5E-00-53-FF まで
    • Multicast MACアドレス
      • 01-00-5E-90-10-00 から 01-00-5E-90-10-FF まで
  • EUI-64 Documentation Values
    • Unicast MACアドレス
      • 00-00-5E-10-00-00-00-00 から 00-00-5E-10-00-00-00-FFまで
      • 00-00-5E-FE-C0-00-02-00 から 00-00-5E-FE-C0-00-02-FF (192.0.2.0/24 由来です)
      • 00-00-5E-FE-C6-33-64-00 から 00-00-5E-FE-C6-33-64-FF (198.51.100.0/24 由来です)
      • 00-00-5E-FE-CB-00-71-00 から 00-00-5E-FE-CB-00-71-FF (203.0.113.0/24 由来です)
      • 00-00-5E-FF-FE-00-53-00 から 00-00-5E-FF-FE-00-53-FF (ドキュメント用のEUI-48 由来です)
      • 00-00-5E-FE-EA-C0-00-02 (RFC5737/RFC6034の234.192.0.2由来です)
      • 00-00-5E-FE-EA-C6-33-64 (RFC5737/RFC6034の234.198.51.100由来です)
      • 00-00-5E-FE-EA-CB-00-71 (RFC5737/RFC6034の234.203.0.113由来です)
    • Multicast MACアドレス
      • 01-00-5E-10-00-00-00-00 から 01-00-5E-10-00-00-00-FFまで
      • 01-00-5E-FE-C0-00-02-00 から 01-00-5E-FE-C0-00-02-FF (192.0.2.0/24 由来です)
      • 01-00-5E-FE-C6-33-64-00 から 01-00-5E-FE-C6-33-64-FF (198.51.100.0/24 由来です)
      • 01-00-5E-FE-CB-00-71-00 から 01-00-5E-FE-CB-00-71-FF (203.0.113.0/24 由来です)
      • 01-00-5E-FF-FE-00-53-00 から 01-00-5E-FF-FE-00-53-FF (ドキュメント用のEUI-48 由来です)
      • 01-00-5E-FE-EA-C0-00-02 (RFC5737/RFC6034の234.192.0.2由来です)
      • 01-00-5E-FE-EA-C6-33-64 (RFC5737/RFC6034の234.198.51.100由来です)
      • 01-00-5E-FE-EA-CB-00-71 (RFC5737/RFC6034の234.203.0.113由来です)

また、IPv6で利用される modified EUI-64 では、IEEE の EUI-64 とは違い、第一オクテットの7ビット目が反転されています。上記の第一オクテット目を考えると

  • [unicast]
    • 00000000b –7ビット目反転–> 00000010b -> 0x02
  • [multicast]
    •  00000001b –7ビット目反転–> 00000011b -> 0x03

となりますので

unicast modified EUI-64 は 02-00-5E
multicast modified EUI-64 は 03-00-5E

でEUI-64 Documentation Values の 00-00-5E, 01-00-5E をそれぞれ書き換えたものが Modified EUI-64 の文書用アドレスとして使えることになります。

最後に

なお、実際の機器にこれらの値を使って設定するのはお勧めしません。意図的にフィルタリングなどなされていることもあり、思わぬ不具合を招く可能性があるので、注意しましょう。

以上、もし間違っている箇所があれば、ご指摘頂ければ幸いです。

[修正履歴]
"1. IPv4アドレス" に加筆 (2016-04-07)
"2. MACアドレス" に加筆 (2016-04-07)

本ブログの情報につきましては、自社の検証に基づいた結果からの情報提供であり、
品質保証を目的としたものではございません。

アバター

投稿者: Koichi KUNITAKE

最近は Ansible やら Sphinx 触ってます。IPv6 はボチボチ……